1. 住宅賃貸借(借家)契約について

賃貸借(借家)契約はなが~いお付き合い

居住用賃貸借は、居住の目的で期間を2年、3年として契約し、貸主・借主間の合意があればさらに2年、3年と契約が更新され、貸主と借主の間の契約関係が継続的に続いていきます。賃貸借契約と売買契約と大きく異なるのは、この継続的な契約関係である点です。

この継続する契約関係の中で、貸主・借主間でさまざまなトラブルが生じています。入口部分である契約の締結時、中間部分の入居期間中、出口の契約終了時それぞれで賃貸借特有のトラブルが見られます。

貸主と借主が良好な関係を保ちながら、トラブルを未然に防止するにはどんなことに気をつければ良いのでしょうか。

賃貸借(借家)契約に適用される主な法律

貸借契約には、まず借地借家法が、そこに規定されていないところは民法が適用されます。また、宅地建物取引業にかかわるところは、宅地建物取引業法が適用されます。
なお、平成4年8月の借地借家法の(改正)施行により、以前の借家法、借地法及び建物保護に関する法律の3つの法律は廃止されました。もっとも、改正前の「旧借家法に基づき契約された建物賃貸借契約の更新の拒絶の通知及び解約の申し入れに関しては、なお従前の例による」(附則12条)ことになっています。

○借地借家法

 主に借主を保護するために、民法の特別法として制定されている法律です。

  • 貸主が賃貸借契約の解約や更新を拒絶するには、「正当事由」がある場合でなければ認められません。
  • 借主は、通常に入居していれば、オーナーチェンジによる新しい貸主に対しても借家人であることを主張できます。
  • 居住用の借家では借主が死亡した場合、法律上の相続人がいなくても、借主と事実上夫婦関係にあった同居人等が望むなら居住を継続することができます。
  • 事情が変われば、貸主は賃料の増額を、他方借主は賃料の減額の請求ができます。
  • その他、期間の満了により必ず契約が終了する定期借家制度も規定されています。

○民法

 賃貸借契約についての一般的なルール(原則)を規定している法律です。

  • 貸主は、貸家の使用収益に必要な修繕をしなくてはなりません。
  • 借主は、借家をまた貸し(転貸)等するには貸主の承諾を得ることが必要です。
  • 借主は、住居用など定められた使用方法で借家を使用しなければなりません。
  • 借主は、他人の家を借りるわけですから、自分の家以上の注意を払って居住(使用)することを求めています。
  • 借主は、修繕を要する不具合等を発見したときには遅滞なく貸主に通知しなければなりません。

○宅地建物取引業法

宅地建物取引業を営む者に免許を取得させ、契約の前までに「重要事項説明」を行うことを義務付け、媒介等の報酬についても一定の限度ないとする等、宅建業者を規制している法律です。

  • 賃貸物件を借りようとする人が、物件の状況を把握し契約条件等について理解して契約の判断ができるように、媒介・代理を行う宅建業者に対し、契約が成立する前までに「重要事項説明書」を作成・交付して説明することを義務付けています。
    なお、賃貸借については、契約成立までの入口部分に関与する宅建業者(代理・媒介)について規制するもので、宅建業者が契約の更新や敷金精算等の中間・出口部分の業務に関与したとしても、この法律の適用はありません。
  • 貸主については、アパート経営のように業として行ってもこの法律の適用はありません。宅建業者自らが貸主の場合であっても同様です。

○その他

消費者契約法(平成13年4月1日施行)
消費者を保護するために創設された法律です。
消費者契約は「消費者個人と事業者間の契約」について適用されます。アパートを個人で所有し賃貸するにあたり、消費者個人と締結する賃貸借契約は消費者契約にあたります。
この消費者契約法は、消費者契約について主に次のようなことを規定しています。

  • 消費者は重要事項について事実と異なる内容を告げられたり、その不利益な事実を故意に告げられなかったために、「誤認」して契約した場合や「困惑」のあまり契約してしまった場合には、消費者契約の申し込みまたはその承諾を取り消すことができます。
  • 消費者が支払う損害賠償の額についての定めが「平均的な損害額」を超えている部分は無効となります。
  • 家賃の支払いが遅れたときの遅延損害金の定めが年 14.6%(日歩4銭)を超える部分は無効になります。
  • 消費者の利益を一方的に害する不当な条項は無効となります。

高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年8月5日施行)
高齢者の居住の安定のために創設された法律です。

  • 国土交通大臣及び厚生労働大臣が共同して基本方針を策定し、都道府県が基本方針に基づき高齢者の居住の安定の確保に関する計画を策定します。
  • サービス付き高齢者向け住宅の登録制度:平成23年10月20日、改正法の施行により、バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携し高齢者を支援するサービスを提供する「サービス付き高齢者向け住宅」の都道府県知事への登録制度が創設されました。住宅等の建設・改修費に対し国の補助が受けられると共に、脆性優遇、住宅金融支援機構による融資が受けられます。
  • 終身賃貸事業の認可制度:バリアフリー化された賃貸住宅に高齢者が終身にわたり安心して居住できる仕組みとして都道府県知事が認可した住宅について、借家人が生きている限り存続し、死亡時に終了する借家人本人一代限りの借家契約の締結が認められます。